
土曜の昼過ぎ、神戸須磨水族館に行ってきた。
いや、正確には連れて行かれた。姉の子供が二人いるんだけど、上が小学三年生で下が五歳。この二人を預かることになって、とりあえず水族館でも行っとけば静かになるだろうという浅はかな考えで足を運んだわけ。結果から言うと、全然静かにならなかった。むしろ館内で一番うるさかったかもしれない。
エントランスを抜けた瞬間、下の子が「さかなー!」って叫んで走り出した。まだ魚見えてないのに。期待値だけで興奮してる。上の子は冷静なフリしてたけど、目がキラキラしてて隠せてない。私はというと、入場料の高さにちょっと引いてた。大人一人と子供二人で結構な出費。でもまあ、姉には恩があるし…。
最初のエリアは確か、熱帯魚のコーナーだったと思う。色とりどりの小さな魚が群れで泳いでて、水槽の青い光が顔に反射してる。子供たちは水槽に張り付いて、ガラスに手形つけまくり。係員の人、後で拭くの大変だろうな。五歳の方が「これママに似てる」ってフグ指さしてて、私は全力で笑いをこらえた。
ペンギンのところで事件が起きた。
餌やりタイムに遭遇したんだけど、飼育員さんが魚を投げるたびに子供たちが「がんばれー!」って応援し始めて。応援するのはペンギンじゃなくて飼育員さんの方。「お兄さんがんばれー!」「ナイスピッチング!」とか叫んでる。周りの家族連れも笑ってたけど、飼育員さん本人が一番困った顔してた。私は遠くで見てるフリしてたけど、内心めちゃくちゃ恥ずかしかった。
イルカショーの時間が近づいてきて、会場に移動したんだけど、ここがまた賑やかで。家族連れだらけ。ベビーカー押してる人、お弁当広げてる人、みんな思い思いに場所取りしてる。私たちも前から三列目くらいの席を確保できて、子供たちはもうソワソワが止まらない。
ショーが始まると、イルカがジャンプするたびに歓声が上がる。水しぶきが客席まで飛んできて、前の方の人たちがキャーキャー言ってる。うちの子たちも立ち上がって拍手してて、もう完全に没入してた。五歳の子なんて、イルカが芸を成功させるたびに「すごーい!」って全身で喜んでる。その姿見てたら、なんか自分も子供の頃を思い出した。
私が小学生の時、親に連れられて水族館行ったことがあるんだけど。
あの時も確か、こんな感じで興奮してたような気がする。何見ても新鮮で、何もかもが面白くて。大人になると、水族館って「ああ、魚がいるね」くらいの感想になっちゃうけど、子供にとっては完全に別世界なんだろうな。キラキラした目で水槽覗き込んでる姿見てると、こっちまで楽しくなってくる。不思議なもんで。
クラゲのエリアに入った時、照明が暗くて幻想的な雰囲気になってた。ゆらゆら漂うクラゲを、子供たちがじっと見つめてる。さっきまでの騒がしさが嘘みたいに静か。「きれいだね」って上の子がぽつりと言って、下の子も「うん」って頷いてた。この瞬間だけは、本当に穏やかだった。
タッチプールでは大騒ぎが再開した。ヒトデやナマコを触れるコーナーで、二人とも最初は恐る恐る指先だけ伸ばしてたのに、慣れてくると両手で掴もうとし始めて。「ぬるぬるしてる!」「気持ち悪い!」とか言いながら、めちゃくちゃ楽しそう。周りの子供たちも同じテンションで、プール周辺は完全にカオス状態。係員さんが「優しく触ってね」って何度も注意してたけど、誰も聞いてない。
お土産コーナーに着いた時には、もう覚悟してた。
案の定、「これ買って」「あれも欲しい」の嵐。ぬいぐるみ、キーホルダー、お菓子、全部欲しがる。予算オーバー確実だったから、「一人一個だけね」って条件出したら、二人で三十分くらい悩んでた。最終的に上の子はイルカのぬいぐるみ、下の子はペンギンのキーホルダーを選んで、レジに向かった。会計の時、下の子が「ありがとう」って私に言ってきて、なんかちょっとジーンときた。
帰りの電車で二人とも爆睡してた。朝から全力で遊んだから当然だけど。窓の外、夕暮れの神戸の街が流れていく。隣の席で寝息立ててる子供たち見てたら、今日一日結構楽しかったなって思った。
魚より子供観察してる時間の方が長かった気がするけど、それはそれで。


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