神戸の須磨海岸で過ごす夏と、それ以外の季節のこと

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須磨海岸に最後に行ったのは、たぶん去年の8月だったと思う。

正確には覚えてないんだけど、夏休み最後の週末だったはず。朝の9時前に着いたのに、もう駐車場には車がけっこう並んでいて、家族連れがパラソルを広げ始めていた。潮の香りと日焼け止めのココナッツっぽい匂いが混ざって、ああ夏だなって感じがする。砂浜を裸足で歩くと、表面は熱いのに少し掘ると冷たくて湿っていて、その温度差が妙に気持ちいい。

海水浴シーズンの須磨は、正直言ってめちゃくちゃ混む。若者グループがビーチバレーやってたり、子どもが浮き輪で波打ち際ではしゃいでたり、カップルが波に足だけつけて写真撮ってたり。賑やかで活気があって、それはそれで悪くないんだけど、人混みが苦手な自分としては「ああ、これ夏だけの顔だよな」って思ってしまう。海の家から流れてくる音楽と、焼きそばの匂い。ビーチサンダルの音がぺたぺた響いて、遠くで誰かが叫んでる。エネルギーの塊みたいな場所。

でも9月の半ばを過ぎると、須磨海岸はまったく違う表情を見せる。

海の家が撤去されて、パラソルもビーチボールもない。人もまばらで、たまに散歩してる人がいるくらい。波の音がやけにはっきり聞こえて、カモメの鳴き声も耳に入ってくる。夕方の5時過ぎに歩くと、西日が海面をオレンジ色に染めて、砂浜が長い影を作る。足跡が残るのが楽しくて、わざと波打ち際ギリギリを歩いたりして。波が来ては消えて、また来ては消えて、その繰り返しを見てるだけで時間が過ぎていく。

前に友達と「須磨って夏しか行かないよね」って話になったことがあって、そのとき「いや、冬もいいよ」って言ったら「寒いだけじゃん」って笑われたんだけど。

確かに寒い。風も強いし、海に入れるわけでもない。でも冬の須磨海岸を歩くと、空気が澄んでいて明石海峡大橋がくっきり見える。人が少ないから、砂浜が広く感じる。たまにジョギングしてる人とすれ違うくらいで、ほとんど貸し切り状態。波の音だけが聞こえる静けさって、意外と贅沢だと思う。手がかじかんで、ポケットに突っ込みながら歩く感じも悪くない。

春先の須磨もいい。3月の終わりとか4月の頭くらい。まだ海水浴には早いけど、気温が上がってきて、砂浜を歩いても寒くない。この時期は地元の人がちらほら散歩してるくらいで、観光客はほとんどいない。犬の散歩をしてる人がいたり、スケッチしてる人がいたり。のんびりした空気が流れてる。砂浜に座って、ぼーっと海を眺めてると、波が寄せては返す音がリズムになって、なんだか眠くなってくる。

そういえば、須磨海岸の近くに「マリンカフェ・ブルーウェーブ」っていう小さな喫茶店があって、そこのホットコーヒーが好きだった。窓際の席に座ると海が見えて、冬の寒い日に行くと体が温まる。店主のおじさんが無口な人で、注文を聞くとき以外ほとんど喋らないんだけど、コーヒーの淹れ方は丁寧だった。最近行ってないから、まだやってるかわからないけど…。

夏の須磨海岸は確かに華やかで楽しい。友達と遊びに行くなら、やっぱり夏がいいと思う。でもそれ以外の季節の須磨を知ってしまうと、夏だけで終わらせるのはもったいない気がしてくる。人が少ない砂浜を一人で歩く時間とか、波の音だけが聞こえる静けさとか、そういうのも悪くない。

神戸に住んでると、須磨海岸は「ちょっと行ってくるか」くらいの距離にあって、それが便利でもあり、逆に「いつでも行けるから」って後回しにしがちでもある。気づいたら何ヶ月も行ってなかったりする。

海はいつもそこにあって、夏も冬も変わらず波を繰り返してる。人間が勝手に「海水浴シーズン」とか決めてるだけで、海自体は別に夏だけのものじゃない。そう思うと、オフシーズンの須磨海岸を歩くのは、なんだか海の本来の姿を見てる気がして、ちょっと特別な感じがする。

次はいつ行こうかな。

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