週末の神戸、三宮駅に集まった大学の友人5人組は、久しぶりの再会にテンションが上がっていた。「今日は北野坂を登って異人館めぐりするんでしょ?楽しみすぎる!」と、カメラを首からぶら下げたアヤが声を弾ませる。「インスタ映えスポット探しまくろうね!」とユイも応じる。神戸観光といえば港町のイメージが強いけれど、今日私たちが目指すのは、坂の上に広がる異国情緒たっぷりのエリアだ。
北野坂の入口に差し掛かると、急に街の雰囲気が変わった。おしゃれなカフェやブティックが立ち並び、石畳の坂道が続いている。「うわ、もうすでに雰囲気あるじゃん!」とタクヤが興奮気味に言う。坂を登り始めると、思った以上の傾斜に「これ、けっこうキツくない?」とケンタが息を切らせる。「運動不足がバレちゃうよ!」とみんなで笑いながら、ゆっくりと坂を登っていく。途中、レトロな街灯や洋風の建物が目に入るたびに、誰かが「ちょっと待って、ここで写真撮ろう!」と立ち止まる。
坂の中腹あたりで、最初の異人館が見えてきた。「あれ、風見鶏の館だ!」とユイが指差す。赤レンガの外壁に尖った屋根、そして屋根の上で風を受けて回る風見鶏。まさに神戸を代表する観光スポットだ。「明治時代にドイツ人が住んでたんだって」とアヤがスマホで調べた情報をシェアする。「すごいよね、100年以上前の建物がこんなにきれいに残ってるなんて」と感心しながら、みんなで記念撮影。ポーズを決めたり、ふざけたりしながら、何枚も写真を撮った。
風見鶏の館の隣には、萌黄の館がある。その名の通り、淡い緑色の外壁が特徴的な洋館だ。「この色、めっちゃかわいい!」とユイが目を輝かせる。中に入ると、当時の家具や調度品が展示されていて、まるでタイムスリップしたような感覚になる。「ここのベランダからの眺め、最高らしいよ」というケンタの情報に従って2階へ上がると、神戸の街が一望できる絶景が広がっていた。「うわー、港まで見える!」「あそこがメリケンパークかな?」とみんなで景色を楽しみながら、ワイワイと盛り上がる。
異人館街を歩いていると、それぞれの館に個性があることに気づく。イタリア館では本格的なイタリア料理の香りが漂い、「お腹空いてきた」とタクヤがつぶやく。デンマーク館では北欧のインテリアデザインに「こういう部屋に住みたい!」とアヤが憧れの眼差し。英国館ではシャーロック・ホームズの部屋が再現されていて、「推理小説好きにはたまらないね」とケンタが興奮している。
坂道を登ったり下ったりしながら、次々と異人館を訪れる私たち。「神戸ってこんなに坂が多いんだね」「でもこの坂があるから景色がいいんだよね」と話しながら歩く。途中、小さなカフェで休憩することにした。テラス席に座って、神戸らしいスイーツとコーヒーを注文する。「この雰囲気、海外旅行してる気分になるね」とユイが言うと、みんなが頷く。確かに、周りを見渡せば洋館ばかり。日本にいることを忘れそうになる不思議な感覚だ。
「ねえねえ、うろこの家にも行こうよ!」とアヤが提案する。うろこの家は、外壁が魚の鱗のような天然石で覆われている異人館で、神戸観光では外せないスポットだ。坂をさらに登って到着すると、その独特な外観に「本当にうろこみたい!」と全員が感動。館内には美術品のコレクションが展示されていて、「こんな豪華な家に住んでたなんて、当時の外国人ってすごいな」とタクヤが感心する。庭園からの眺めも素晴らしく、神戸の港や街並みが一望できる。「ここ、夜景もきれいらしいよ」というケンタの言葉に、「じゃあまた夜に来ようか!」と盛り上がる。
北野坂周辺を歩いていると、観光客だけでなく、地元の人たちの生活も垣間見える。おしゃれなパン屋さんやワインショップ、アンティークショップなど、個性的なお店が点在している。「神戸って、本当に洗練された街だよね」とユイがしみじみ言う。「でも気取ってない感じがいいよね」とアヤも同意する。異人館という歴史的な建造物と、現代の生活が自然に融合している、それが神戸の魅力なのかもしれない。
夕方近くになり、少し疲れた私たちは、北野坂を下りながら今日の観光を振り返る。「めっちゃ歩いたね」「でも楽しかった!」「写真いっぱい撮れたし、インスタにアップするの楽しみ」と口々に言い合う。「次は神戸のどこに行く?」とケンタが聞くと、「中華街もいいな」「ハーバーランドで夜景見たい」と、もう次の計画が始まっている。
神戸の北野坂と異人館めぐり。若い私たちにとって、それは単なる観光以上の体験だった。歴史を感じながら、友達とワイワイ楽しみ、美しい景色に感動し、おいしいものを食べる。そんな何気ない時間が、きっと大切な思い出になるんだろう。「また来ようね、神戸」と誰かが言うと、みんなが「絶対!」と答えた。坂の街、神戸。また必ず、この仲間と一緒に訪れたいと思える、そんな素敵な場所だった。
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