「ねぇねぇ、この坂って北野坂っていうんだって！」スマートフォンを片手に地図を確認しながら、美咲が声を弾ませる。私たち4人組の女子大生は、神戸観光の定番スポット、北野坂の入り口に立っていた。春休みを利用して、関西に住む私たちは神戸観光を楽しむことにしたのだ。
「まさに異人館街の入り口って感じだよね」と、歴史好きの友美が周囲を見回しながら言う。確かに、坂道の両側には明治時代から残る洋館が立ち並び、まるでヨーロッパの街角にタイムスリップしたような雰囲気が漂っている。
「写真撮影スポットがいっぱいありそう！」カメラ好きの彩花が早速カメラを構える。北野坂は緩やかな上り坂になっていて、坂道の両側には古き良き時代の面影を残す建物が並んでいる。石畳の道は、まるで異国の街並みを歩いているような錯覚を覚えさせる。
「あ！あそこのパン屋さん、SNSで話題になってたやつだよ！」私が指さした先には、レトロな外観の中に最新のベーカリーカフェが。異人館街らしい歴史的な建物を活かしながら、モダンな要素を取り入れた店舗が増えているのも、この街の魅力の一つだ。
坂を上っていくと、次々と異人館が姿を現す。「風見鶏の館が見えてきた！」美咲が歓声を上げる。異人館の中でも特に有名な建物の一つで、その特徴的な外観は多くの観光客の写真スポットとなっている。
「ねぇ、この建物の歴史について書いてあるよ」友美が案内板を指さす。明治時代、神戸開港後に外国人居留地として栄えた北野町。ドイツ人商人が建てたという風見鶏の館は、当時の国際色豊かな神戸の姿を今に伝える貴重な建造物なのだ。
「入場料払って中も見学してみない？」彩花の提案に、全員が賛成。館内に入ると、優雅な階段や美しいステンドグラス、当時使われていた家具や調度品が、まるでタイムマシンに乗ったかのような気分にさせてくれる。
「写真撮影OKの場所もあるんだね」各部屋を巡りながら、私たちは思い思いにカメラを向ける。2階のベランダからは、神戸の街並みと港が一望できる。「ここからの眺め最高！」山と海に挟まれた神戸の地形を実感できる絶好のビューポイントだ。
異人館を出た後は、周辺の小さなショップやカフェを巡ることに。「このお店、可愛い雑貨がいっぱい！」レトロな建物をリノベーションした雑貨店で、美咲がアクセサリーを物色している。神戸らしいおしゃれな店構えと、丁寧な接客も印象的だ。
「あ、もうお昼だね。ここで食事する？」友美が指さした先には、異人館をカフェとして利用している建物が。「神戸牛のハンバーグランチがおすすめだって」メニューを見ながら、私たちは早速入店を決める。
重厚な扉を開けると、アンティーク調の家具や調度品に囲まれた優雅な空間が広がっていた。「まるで映画のワンシーンみたい」窓から差し込む柔らかな光の中、私たちは贅沢なランチタイムを過ごす。
食事の後は、さらに坂を上って異人館街を散策。「ここの建物も素敵！」「この角度から撮ると面白いね」と、思い思いに写真を撮りながら、歴史ある街並みを楽しんでいく。
途中、神戸の地場産業である真珠のショップに立ち寄ったり、手作りチョコレートの工房を覗いたり。「神戸って、伝統と新しさが上手く混ざり合ってるよね」彩花の言葉に、みんなが頷く。
北野異人館街の最上部に到着すると、そこからの眺めに私たちは息を呑んだ。「神戸の街全体が見渡せるね」港や市街地、そして六甲山系まで、神戸の街並みを一望できる絶景ポイントだ。
「今日は本当に楽しかった！」下り坂を歩きながら、美咲が笑顔で言う。「異人館めぐりって、想像以上に面白かったね」友美も満足げだ。私たちの神戸観光の思い出に、北野坂での素敵な一日が刻まれた。
「次は夜景を見に来たいね」「ハーバーランドも行ってみたいな」と、次の神戸観光の計画を立て始める私たち。歴史と文化が息づく北野坂は、若者の私たちの心も掴んで離さない、魅力的なスポットだった。
帰り際、夕暮れ時の北野坂を振り返る。石畳に映る夕陽の光が、異人館の壁を優しく照らしている。「また来ようね」という言葉とともに、私たちの神戸での素敵な一日は幕を閉じた。この街には、まだまだ発見できていない魅力が隠されているはず。次は違う季節に、また新しい発見を求めて訪れたいと思う。それは私たち全員の、心からの願いだった。
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