神戸の水槽に映る子供たちの顔が、妙に眩しかった話

Uncategorized

ALT

須磨の水族館に行ったのは、確か秋口の平日だったと思う。

駐車場に車を停めた瞬間から聞こえてくるんだよね、子供たちの声が。まだ建物の中にも入ってないのに、なんだかもうワクワクしてる感じが空気に混ざってる。チケット売り場で並んでる時、前にいた家族連れの男の子が「イルカ見る!」って叫んでて、お母さんが「声小さくしなさい」って言ってるんだけど、全然小さくなってなかった。

入館してすぐの大水槽の前で、最初の光景を見た。青白い照明に照らされた巨大な水槽の前に、子供たちがへばりついてる。ガラスに手をついて、顔を近づけて、魚が通るたびに「わあ!」って声を上げる。その声が水族館特有の反響音と混ざって、なんとも言えない賑やかさを作り出してる。大人たちはちょっと離れたところでスマホ構えてるんだけど、子供たちは完全に水槽の世界に入り込んでる。

あの独特の匂いってあるじゃん、水族館の。海水と消毒液が混ざったような、ちょっと生臭いような。でもあれが妙に懐かしくて、自分が子供の頃に来た時のことをふと思い出した。

クラゲのコーナーでは、暗闇の中でぼんやり光るクラゲを見上げてる女の子がいて。「お母さん、これ宇宙人みたい」って言ってた。確かに宇宙人っぽい。その発想はなかったけど、言われてみればそうかもしれない。隣にいた別の子は「ゼリーみたい」って言ってて、子供の比喩表現って本当に自由だなと思った。大人になると「幻想的」とか「神秘的」とか、そういうありきたりな言葉しか出てこなくなるんだけど。

ペンギンのエリアに差し掛かった時、突然思い出したんだけど、昔付き合ってた人とここに来たことがあって。その時は全然楽しくなかったんだよね。今思えばあれは関係が終わりかけてた時期だったから、水族館どころじゃなかったんだろうけど。

タッチプールでは完全にカオスだった。ヒトデやナマコを触れるコーナーなんだけど、子供たちが群がってて、係員のお姉さんが「順番にね〜」って言ってるのに全然順番になってない。ある男の子がナマコ触った瞬間「うわっ!」って手を引っ込めて、でもすぐまた触りに行く。その繰り返し。怖いけど気になる、みたいなあの感じ。

水槽の青い光が子供たちの顔を照らすと、みんな同じような表情になるんだよね。目を見開いて、口を半開きにして、完全に時間を忘れてる顔。

イルカショーの時間が近づくと、みんな一斉にプール側へ移動し始める。その流れに乗って私も観客席に座ったんだけど、前の方の席はもう家族連れで埋まってた。ショーが始まる前から子供たちは興奮してて、「早く始まらないかな」「イルカジャンプするかな」って話してる。実際にショーが始まると、イルカが水面から飛び出すたびに歓声が上がって、水しぶきが飛んでくる前列の子たちは「キャー!」って逃げながらも笑ってる。濡れるのが嫌なはずなのに、なんか楽しそう。

お土産コーナーを通りかかった時、ぬいぐるみを抱えた子供が「これ買って」ってお父さんにねだってた。お父さんは「さっきアイス買ったでしょ」って言ってたけど、最終的には買ってもらえてた気がする。レジの列に並んでたから。

帰り道、駐車場に向かいながら振り返ると、まだ建物から子供たちの声が聞こえてくる。今日一日で何人の子供があそこで笑ったんだろう。何匹の魚を見て、何回「すごい」って言ったんだろう。

神戸の海沿いで、今日も誰かの子供時代が更新されてる。それだけの話なんだけど…なんかいいよね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました