神戸の水族館で子どもが走り回る理由を考えたことがある?

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週末の神戸須磨水族館は、もう静寂とは無縁の場所だ。

入口をくぐった瞬間から聞こえてくるのは、大人の話し声じゃない。子どもたちの甲高い声が、水槽のガラス越しに反響して、まるで音楽みたいに館内を満たしている。「ママ見て!」「あっちにサメいる!」って叫びながら駆けていく小さな影。その後ろを、ベビーカーを押しながら必死で追いかける親の姿。私が最初にここへ来たのは平日の昼間だったから、この週末の熱量にはちょっと面食らった。

水族館って本来、静かに魚を眺める場所だと思ってた。でも子どもたちにとっては違うんだろうね。彼らにとって水槽は、動くテレビ画面みたいなもので、しかも自分が近づいたり離れたりすることで見え方が変わる、インタラクティブな装置なんだ。だから走る。止まらない。

イルカショーの時間が近づくと、家族連れの流れが一気にプールサイドへ向かう。階段状の観覧席はあっという間に埋まって、場所取りに成功した親たちは安堵の表情を浮かべる。私の隣に座った4歳くらいの男の子は、開始10分前からずっと「まだ?」って聞いてた。お父さんが「もうすぐだよ」って答えるたびに、男の子は水面を覗き込んで、イルカが出てこないか確認してる。その繰り返し。

ショーが始まると、歓声が一斉に上がる。イルカがジャンプするたびに「わあー!」って声が重なって、その音の塊が空気を震わせる。水しぶきが観客席まで飛んできて、前列の子どもたちは大喜び。濡れることを嫌がる子なんて一人もいない。むしろ「もっとかけて!」って身を乗り出してる。トレーナーのお姉さんが手を振ると、子どもたちも一斉に手を振り返す。あの光景、何度見ても飽きないんだよね。

そういえば去年の夏、友達の子どもを連れてきたことがある。当時3歳だったその子は、クラゲの水槽の前で固まって動かなくなった。ふわふわ漂うクラゲをずっと見つめて、「きれい…」ってぽつりと呟いた。その日は結局、クラゲコーナーに30分くらいいた気がする。子どもの時間感覚って独特で、大人が「次行こうよ」って急かしても、本人はまだ満足してないんだよね…だけど。

館内のカフェテリアは昼時になると戦場と化す。テーブルを確保するのも一苦労で、ようやく座れたと思ったら隣の子がジュースをこぼして、その子のお母さんが謝りながらナプキンで拭いてる。うちの姪っ子も以前ここでソフトクリームを床に落として大泣きしたっけ。あの時は店員さんが優しくて、新しいのをサービスしてくれたんだ。「マリンブルーソフト」っていう、青い色のやつ。

タッチプールのエリアは特に賑やかだ。ヒトデやナマコに触れるコーナーで、子どもたちは恐る恐る手を伸ばす。最初は怖がってるくせに、一度触ったら何度も触りたがる。「ぬるぬるしてる!」「冷たい!」って報告し合ってる姿が微笑ましい。飼育員のお兄さんが生き物の説明をしてくれるんだけど、子どもたちは話半分で、とにかく触ることに夢中。学びより体験。それでいいんだと思う。

大水槽の前は、いつ行っても人だかりができてる。マグロやエイが悠々と泳ぐ姿を、子どもたちは床に座り込んで見上げてる。ガラスに手や顔を押し付けて、魚が近づいてくるのを待ってる。その集中力たるや、普段の生活では見せない真剣さだ。親たちはその様子をスマホで撮影してる。きっと家に帰ってから、おじいちゃんおばあちゃんに見せるんだろうね。

閉館時間が近づくと、「帰りたくない!」って駄々をこねる子が必ず出てくる。出口付近で泣いてる子を見かけない日はないんじゃないかな。でもそれって、楽しかった証拠でもあるわけで。親は大変そうだけど、まんざらでもない顔してる。

神戸の海沿いを歩きながら帰る家族連れの後ろ姿を見送ると、なんとなく思う。水族館って結局、魚を見る場所じゃなくて、子どもが全力で喜ぶ姿を見る場所なのかもしれない。

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