
北野坂の入口で集合したのが午後2時過ぎ。ユウタが15分遅刻してきて、もう全員揃ってるのに「いや、駅の出口が多すぎて」って言い訳してた。
三宮から北野坂に向かう途中、私たちは完全にテンションがおかしかった。5人グループで神戸に来るのは初めてで、異人館っていう響きだけでなんだか浮かれてしまう。サキが「洋館でお茶するやつじゃん」って言うから、みんなで勝手に貴族ごっこの真似事を始めて、通行人に変な目で見られた。坂道を登りながら、アヤが「これ帰り大丈夫?」って心配してたけど、その時はまだ余裕だったんだよね。
異人館街に着いてすぐ、風見鶏の館が見えてきた時の感動ったらなかった。赤レンガの外壁と、屋根の上でキラキラ光る風見鶏。写真で見るのと実物は全然違って、建物の重厚感がすごい。中に入ると、床がギシギシ鳴るのが妙にリアルで、ユウタが「ここ本当に人住んでたんだよな」ってしみじみ言ってた。階段の手すりとか、暖炉の装飾とか、細かいところまで凝ってて、当時の職人の技術に圧倒される。2階の窓から見える神戸の街並みが最高で、みんなでスマホ構えて撮影大会になった。
萌黄の館に移動する途中で、私たちは道を間違えた。
Googleマップを見ながら歩いてたはずなのに、気づいたら住宅街の細い路地に入り込んでて。「あれ、こんな道通るっけ?」ってサキが言い出して、5人で地図とにらめっこ。結局10分くらいウロウロして、地元のおばあちゃんに道を聞く羽目になった。「あんたら、そっちは全然違うよ」って笑われて、恥ずかしかったけど優しく教えてくれた。迷子になったおかげで、観光ルートじゃない普通の住宅地を歩けたのは、それはそれで面白かったかも。
萌黄の館は、名前の通り淡い緑色の外壁が印象的で、風見鶏の館とはまた違った雰囲気がある。中に入ると、当時の家具や調度品が展示されてて、アヤが「このソファ座りたい」って言うから、「触っちゃダメだよ」ってみんなでツッコんだ。2階のベランダから見える景色も素晴らしくて、神戸の港まで見渡せる。ここで暮らしてた人たちは、毎日この景色を眺めてたのかと思うと、ちょっと羨ましくなった。
そういえば、中学生の時に修学旅行で京都に行ったことを思い出した。あの時も班行動で迷子になって、先生に怒られたんだよね。なんで私、旅行に行くといつも道に迷うんだろう。方向音痴っていうか、地図を見ても現実の景色と結びつかないタイプ。今回も案の定だった…けど。
うろこの館に向かう坂道がかなりきつくて、アヤが「もう無理」って言い始めた。ユウタが「さっき余裕って言ってたじゃん」って突っ込むけど、実際みんなけっこう息切れしてる。5月の神戸は思ったより暑くて、日差しが強い。坂道の途中にあった自動販売機で、みんなでお茶を買って一休み。石垣に腰掛けて飲むお茶が、妙に美味しかった。
うろこの館は、外壁が天然石のスレートで覆われてて、魚の鱗みたいに見えるから「うろこ」なんだって。中に入ると、西洋のアンティーク家具や美術品がたくさん展示されてて、まるで美術館みたい。サキが「これ全部本物?」って驚いてたけど、確かに一つ一つがすごく豪華。庭にはイノシシの像があって、なぜかみんなで触りに行った。「触ると幸せになるらしいよ」ってアヤが言うから、本当かどうか分からないけど、とりあえず触っておいた。
異人館を3つ回ったところで、もう夕方5時近くになってた。「まだ他にも見たいところあるよね」ってサキが言うけど、正直みんな疲れてる。ユウタが「カフェ行こうよ」って提案して、北野坂を下りながらお店を探した。途中で見つけた「カフェ・ド・パリ北野」っていう洋風の喫茶店に入って、ケーキセットを注文。窓際の席から見える坂道の景色を眺めながら、今日歩いた道のりを振り返る。
「結局、予定の半分も回れなかったね」ってアヤが言うと、みんなで笑った。朝、計画立てた時は7つくらい異人館を回る予定だったのに、3つで力尽きた。でも、急いで回るより、ゆっくり見て回れたから良かったのかもしれない。道に迷ったり、休憩したり、そういう予定外のことが旅行の思い出になるんだよね。
帰りの電車で、サキが「次はいつ来る?」って聞いてきた。「今度は秋がいいな、紅葉の時期」ってアヤが答えて、ユウタが「その前に次の休み決めようよ」って言う。
神戸の異人館、また来たいと思う。次はもうちょっと計画的に回れたらいいけど、多分また迷子になる気がする。

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